第一章:神はなぜ創造したのか?
この本の最初の章では、クルアーンを引用しながら、創造に関する考えられる理由、経緯とおよび概念、そして宇宙の構造について説明しています。聖典クルアーンでは、これらの事柄について何度も触れています。更に、人類の最高の見本である預言者ムハンマド(彼に平安あれ)の残した言葉を借り、創造に関する疑問に答えています。
創造という概念について様々な例を示しており、例えば、人が創造という行為を自身が行ったと主張することがありますが、その行為は真の創造とは呼べません。人類は単に、既に存在するもの、つまり神が既に創造したものを操ったり、利用しているだけなのです。
「神が存在しすべてを支配しているのなら、なぜ悪が存在するのか」という疑問を持つ人がいます。この章では、すべての物事は神の力によって完全に支配されており、どんな善も悪も神の承認なしには起こり得ないということを説明しています。これは、神のみが本当の助けや庇護を私たちに与えることができるということであり、神以外の存在にそれを求めることはできないのです。
また、「罪」の源泉、および人類が罪を犯す能力を持っている理由などについても言及しています。この罪の能力、そして自分の罪を認め、反省する能力こそが、人間と他の創造物との大きな違いなのです。
神は、人間には到底持ち得ない力(究極の英知や正義など)を持っています。その上で、限られた範囲内で自由意思を人間に与え、善か悪を選べるようにしているのです。
さらに、「神の愛」とは何か、そしてその愛を得る方法を、すべての人類を導くために生まれ、神に最も愛されている人々=預言者様たち(彼らすべてに平安あれ)を例に解説しています。神は全人類に愛と恵みを施してくださっており、それ無しにはこの世で成功することも、天国に行くこともできません。
神はすべてを知っていますが、人間の知識や能力をあえて限定することで、与えられた使命に集中できるようにしているのです。そうでなかったら、人間は果てしない知識の海を一生さまよい続けるかも知れません。
しかしその限られた能力でも、神の存在と偉大さを充分認識することはできるのです。